痴漢被害者の心得
痴漢にあって加害者が逮捕された場合、その後の流れは数通りあります。その中でも特に多いのが示談で済ませるパターンです。加害者が単独で示談を申し出てくるケースも見られますが、多くの場合は弁護士を通して提案してきます。
そのように弁護士が出てくると、何か自分に落ち度があるように感じて心配になる被害者もいるでしょう。しかしあくまでも自分が被害にあった側なので、弱気になる必要は一切ありません。一方的に提案を受け入れる義務はないので、臆することなく対応してください。
痴漢における示談とは
そのためには示談について基礎的な知識を身に付けておく必要があります。多くの人は、痴漢の事件と聞くと裁判をイメージするのではないでしょうか。たしかに裁判に発展するケースもありますが、裁判に至らないケースも少なくありません。
裁判をすることには、加害者だけでなく被害者にもデメリットがあるからです。何度も加害者と顔を合わせることになりますし、人前で被害の詳細を説明しなければなりません。また仕事や学校を休んでいく必要もあるなど、精神面と生活面の両方において損害が大きくなります。そのため被害者に加害者が示談金を支払うことを提案してきた場合、それを受け入れて穏便に事件を収束させるのです。
具体的には、金銭を受け取る代わりに被害届を出さないことを約束します。もう出してしまった場合は、取り下げの手続きを行います。
痴漢の示談金相場
この場合に迷うことが多いのが金額の妥当性です。法律で金額が決まっていれば判断できますが、実際にはそのような決まりはありません。相場についての知識を持っている人はほとんどいないでしょう。基本的に金額は、被害者側と加害者側の相談によって決定されます。最初に加害者側から金額を提示してきますが、納得できなければ受け入れなくても良いです。少ないと感じた場合は金額を上げるように要求しましょう。
しかし、やみくもに要求するのは良くありません。要求する金額に見合った根拠が必要です。たとえば被害者が金銭的にも被害を被っている場合は、増額を望んでも拒否されにくいです。精神的な被害が大きくて仕事ができなくなったケースなどです。このようにさまざまな事情を考慮して、金額の妥当性や増額について交渉することになります。
弁護士依頼
そのような交渉を行う自信がない被害者は少なくありません。特に加害者に恐怖を感じている場合は何も話せなくなってしまうことも珍しくないです。上手く話せない状態で相手の弁護士が強い口調で話してきたら、一方的に受け入れざるを得ない事態になるかもしれません。
そのような心配がある場合は、被害者側も弁護士に依頼しておくと安心です。自分で話す自信がある被害者でも、感情的になって主張が分かりにくくなりがちです。しかし弁護士であれば、事前に聞いた情報を整理して論理的に主張してくれます。双方の弁護士が話し合うことによって、適切な落としどころが見つかりやすく、早期の解決も期待できます。